どこにいくかわからないお米が奇跡のお酒に。未来を見据えた挑戦。
「お米が足りない。」
昨年、私たちに直面した課題です。
もしかすると、将来
「お米が足らないのに、日本酒を造るなんて贅沢では?」
という可能性を感じました。
私たち土田酒造は、日本酒業界に新しい選択肢を作り出す挑戦を始めました。
それが「くず米を使ったお酒」です。
くず米とは?
形が不揃いだったり、小粒だったりして、通常の流通では食用に回らないお米のことです。
しかし、お米一粒一粒には、農家さんが込めた愛情や努力の集結です。
しかし、形が違っても大切なお米には変わりません。
品質自体には問題がなく、美味しいお酒を造れる、と証明したいために製造にふみきりました。
くず米を活用することで、わずかでも食用米の不足を補うことになり、さらには農家さんの支援にもなるのでは、と思い挑戦をいたしました。
実際に農家さんからは「くず米を出しているだけだと何になっているかわからない。今回のように明確に酒になっていることがわかるのは嬉しい。」
と、ありがたいお言葉をいただきました。
日本酒の 常識 への挑戦
日本酒業界では、酒米の等級が高ければ高いほど価値があるとされています。
酒米を使って、粒が大きいほどよいお酒になりやすい、というのがこれまでの常識でした。
しかし、私たちはこの常識に疑問を抱きました。
本当に酒米がよいのか?
粒が大きいほうがなぜよいとされるのか?
技術があればお米の品種は関係なくおいしくできるのでは?
むしろ、くず米でも、美味しいお酒ができれば、日本酒の可能性が広がるのでは?
しかし、誰も挑まないため、それこそ土田酒造が挑む価値がある。
といった、様々な想いから、使命に燃えてお酒造りに挑みました。
味わいへの挑戦
あえて、吟醸酒のような香り高く、クリアな味わいのお酒を生み出すことを目指しました。
くず米でも、酒米と同じような味が出せることを証明すれば、技術の差で価値を生み出せることを証明したかったためです。
酒米のほうが良さそうという雰囲気ではなく、技術的価値を認めてもらいたいためです。
またそうしていくことで、次の世代も自分たちの技術の研鑽によって新しいお酒を生み出す楽しみを感じて欲しいためです。
教科書や杜氏さんたちは言ってなかったけど、その手があったか、という新しい発想があっていい業界を目指したいからです。
おかげさまで、味わいを生み出すことは成功しました。
まず、きっと香りに驚いて頂けると思います。
そして、くず米を使っていると想像もつかないほど豊かな味わいがあり、後味はクリアになっております。
これが「くず米でも良いお酒が造れる」という、私たちの証明です。
「今」だけでなく「未来」を考える酒造り
今回の挑戦は、ただ「珍しいお酒を作りたかった」わけではありません。私たちが見据えているのは、日本酒業界の未来です。
もし、食べるお米が不足し、酒米を作る余裕がなくなったら。
そんな未来が訪れたとき、「酒米でなければ美味しいお酒が作れない」としたら、日本酒は消えてしまうかもしれません。
そこで、今から「くず米でも美味しいお酒が作れる技術」を確立し、将来の課題に備えることが大切だと考えました。
そして、この技術を他の酒蔵さんとも共有し、業界全体で未来を守っていきたいと思っています。
どこにいくかわからなかったお米が、新しい価値を持ってよみがえる。
日本酒の未来を守るための、一つのカタチです。
「Tsuchida はつしぼり ichi」 ・原料米 :川場産特定米穀(コシヒカリ種) ・精米歩合:78% ・仕込み水:武尊連峰伏流水(関東名水百選) ・麹歩合 :51% ・種麹 :焼酎用黄麹・焼酎用白麹菌 ・酒母製法:生酛 ・酵母 :IDO(土田酒造分離酵母) ・アルコール度数:13%(原酒) ・グルコース:4.4 ・日本酒度 :−23 ・酸度 :2.5 ・アミノ酸 :1.8 ・火入れ :1回火入れ ・保管方法 :冷蔵保管推奨 ※記載されている原材料のみ使用。 ラベル表示義務がない添加物も不使用です。 |